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インビクタス/負けざる者たち [タイトル:ア行]

Invictus (2009年)
監督:クリント・イーストウッド
出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモン、トニー・キゴロギ、パトリック・モフォケン
invictus.jpginvictus.jpg
1995年、南アフリカで開催されたラグビー・ワールドカップに秘められた実話を描いたドラマ。
27年にも及ぶ投獄生活から解放された後、南アフリカの大統領となったネルソン・マンデラはアパルトヘイト政策により分裂した国の統一を計る手段の一つとして、ワールドカップで優勝することを代表チームのキャプテン、フランソワ・ピナールに託す。

十数年前の出来事というまだ記憶にも新しい実話ということあり、スポーツ物にありがちな過剰な演出は避けた作りではあるが、淡々とした描写の中にさらりとした感動がある。
アパルトヘイトという負のイメージ描写を最小限に押さえ、「赦し」というマンデラの掲げた理念とスポーツを通して生まれる絆を前面に打ち出すことで、「過去を振り返らず、未来へ向かって新たなスタートを切ろう」というメッセージがやんわりと確実に伝わってくる。
C・イーストウッドにとって、このような明るいタッチの演出は、決して初めてではないが、確立されたスタイルにこだわらないその柔軟性には、贔屓目線があるのは承知の上で、やはり感服する。

あまり知られていないと思うが、日本は、アパルトヘイト時代の南アフリカと象牙の輸入を通じて、良好な関係にあった数少ない国の一つであり、当時は欧米諸国から非難されていた。
また、本作でも触れられているが、このときのワールドカップで日本代表はオールブラックス(ニュージーランド代表)に歴史的な大敗を喫している。日本でも、J・リーグ発足以前は、サッカーよりもラグビーの方が人気があったが、今にして思えば、この敗北がラグビー人気の下降に拍車をかけたような気もする。
このように、日本人にとって、縁も所縁もない国の話ではないので、見ておくべきであろう。

現在の南アフリカと言えば、一夫多妻のくせに隠し子がいた大統領や、一向に縮まらない隔離や格差から生じる治安の悪さなど、負のイメージも大きいが、南アフリカを舞台にしたSF映画「第9地区」がオスカー候補になったり、サッカーのワールドカップが開催されるなど何かと話題の尽きない国だけに、その歴史を知るという意味でもタイムリーな作品かと思う。

グラントリノ」では端役だったスコット君は、本作では美味しい役を貰っていた。さすがに次回作には出ないようだが、その顔立ちはやはり面影があり、別の作品で観てみたいと思うので、頑張ってもらいたい。
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バラサ☆バラサ

日本人は名誉白人とか言われてましたよね。子供ながらも誇りのない国民だなぁとガッカリしました。

by バラサ☆バラサ (2010-02-14 02:09) 

aneurysm

>タイムリーな作品かと思う。

マンデラさんの映画は最近多いですが、
こういう切り口の映画は珍しいですし、
話のスケールの大きさ故、
今のオバマ政権に話を重ねる人も多いみたいです。
by aneurysm (2010-02-14 09:41) 

ちょいとおまえ

>確立されたスタイルにこだわらない
本当に仰るとおりで、近年にない爽やかさで驚きました。
次回作はなにやら超自然現象的なスリラーみたいで。どんな作品になるのでしょうか。楽しみです。

スコット君も出ているという事で気にしながら観ていたのですが、誰がスコット君なのかよく分かりませんでした。
一番背の高い人かなぁ。と大体の見当をつけたのですが正解でしょうか?
by ちょいとおまえ (2010-02-14 11:09) 

hash

バラサ☆バラサさん、こんばんは。
アパルトヘイトと象牙のダブルパンチでしたからね。
捕鯨問題でとやかく言われるのも、このせいではないかと思います。
by hash (2010-02-14 18:33) 

hash

aneurysmさん、こんばんは。
>オバマ政権
なるほど、確かに重なる部分がありますね。
ともに、ノーベル平和賞を受賞していますし・・・
イーストウッド監督からオバマ大統領へのエールなのかもしれませんね。
by hash (2010-02-14 18:37) 

hash

ちょいとおまえさん、こんばんは。
>次回作
ジャンルの垣根を超越してしまう監督だけに期待大ですね。
>スコット君
決勝戦で決勝ゴールを蹴った選手役です。
M・デイモンの横で結構、チラチラ写っていましたね。
by hash (2010-02-14 18:40) 

トミュウ

こんばんは。
ワールドカップイヤーですし、このタイミングでこの題材は
本当にタイムリーですよね。
ダークにし過ぎず、スポーツに重心を置いて素直に感動できる
作品になっていて良かったと思います。
次回作も超楽しみです!
by トミュウ (2010-02-14 19:18) 

コッスン

これは、本当に監督の技がすごいと感じる作品ですねー。
わあ・・・と思いました。
もちろん、モーガンやマットも素晴らしかったです。

by コッスン (2010-02-15 01:19) 

ジジョ

めちゃくちゃ爽やかな映画でしたね〜☆
イーストウッドの職人技にうなる作品でした♪
>「第9地区」
南アフリカが舞台だったんですね!知らなかった☆
オスカー候補っていうのも意外でしたね〜。
予告編みたら、結構笑える感じだったんだけど、、^^;
by ジジョ (2010-02-15 05:49) 

ひろくん

やっとhashさんのコメントが出ましたね。楽しみにしてました。
「赦す」という言葉をこの作品ほど表した映画は中々ありませんよね。

去年のオスカーでは無冠だったんですね。
作品賞は、やっぱり題材的に...だったんでしょうか?
今年のイングロリアス・バスターズの方がよっぽどだと思いますが....
by ひろくん (2010-02-15 12:53) 

hash

トミュウさん、こんばんは。
南アフリカの過去の過ちを非難するのではなく、新しく出直そうという姿勢を評価するという視点が良かったですね。
次回作も早く見たいです。
by hash (2010-02-15 21:36) 

hash

コッスンさん、こんばんは。
>監督の技
一つの描写で2つも3つも伝えられる、
そんな感じの熟練の腕前ですね。
>モーガンやマット
以外も、知らない俳優なのですが、皆良かったですね。
by hash (2010-02-15 21:40) 

hash

ジジョさん、こんばんは。
イーストウッド作品とは思えない爽やかさがありましたね。^^
引き出しの多さに改めて感服します。
>「第9地区」
4月の日本公開が楽しみですね。
by hash (2010-02-15 21:43) 

vic

日本とゆかりのある国だけど、南アフリカについて本当に無知だな~と改めて思いました。
サッカーのワールドカップもあるし、注目していきたいと思いました。

引用されていた詩と、エンディングのテーマソングが良かったです。

by vic (2010-02-15 21:43) 

hash

ひろくんさん、こんばんは。
>「赦す」
言葉にするのは簡単ですが、なかなか出来ないことですよね。
上のaneurysmさんのコメントにもありますが、オバマ政権へのメッセージも含んでいるのかもしれません。
>オスカー
2009年の作品なので、来月発表のオスカーにM・フリーマンとM・デイモンがノミネートされています。
作品&監督賞にノミネートされていないのは、仰るように題材の問題でしょうね。アメリカ人はラグビーを知りませんから。^^
by hash (2010-02-15 21:49) 

hash

vicさん、こんばんは。
コメント&TBありがとうございます。
>南アフリカ
私も映画から得た知識しかないですが、ワールドカップなどのイベントを通して、もっといろいろ学んでいきたいと思います。
>テーマソング
日本の方の同じ曲がありましたね。

by hash (2010-02-15 22:01) 

sakurai

「スィートテン・ダイヤモンド」とか言って、ダイヤモンドを買え買えと踊らされ、日本人がいいターゲットになっていたのも思い出されます。
あの頃、20数年前ですが、婚約指輪は、意地でも要らないと買いませんでした。
by sakurai (2010-02-16 10:10) 

hash

sakuraiさん、こんばんは。
コメント&TBありがとうございます。
アフリカのダイヤモンドと言うと、映画にもなったシエラレオネのブラッド・ダイヤモンドが思いだされますが、南アフリカも産地&販売拠点として有名ですね。
by hash (2010-02-17 00:35) 

non_0101

こんにちは。
イーストウッド監督らしい“淡々とした描写”が
まるで本物のワールドカップを観ている感覚にさせる作品でした。
試合で沸き起こった一体感は胸が熱くなりました~
今年のワールドカップは試合以外の面でも楽しみです☆
by non_0101 (2010-02-21 21:13) 

Labyrinth

(^_^)ノこんばんは。
さすが師匠の作品 (^_-)b hash さんのお言葉に熱が!?(笑)

> スポーツ物にありがちな過剰な演出は避けた作り

本当に!
それでいて徐々に高揚していくのですからスゴイもんですね。
恥ずかしながら、またしても快い涙を流してしまいました~(笑)
地味だからと言ってパスしなくて良かった! f^_^; ははっ

by Labyrinth (2010-02-22 01:40) 

hash

non_0101さん、こんばんは。
スポーツの持つ力、一体感が見事に表現されていましたね。
サッカー・ワールドカップではどんなドラマが生まれるかも楽しみです。
by hash (2010-02-22 21:39) 

hash

Labyrinthさん、こんばんは。
贔屓なので、どうしても熱くなります。^^
ラストにどかんとくる感動ではなく、全編を通してじわっとくる感動は師匠クラスでないと表現できませんね。
by hash (2010-02-22 21:45) 

てくてく

こんばんは~^^
感動しました。
すごく気持ちのいい涙を
流させてもらいました^^

サッカー・ワールドカップも開催されますが、
治安のほうは悪くなっているようですね。
映画を観つつ、そちらの成功も祈りました。
by てくてく (2010-02-23 01:44) 

hash

てくてくさん、こんばんは。
心地よい感動がありましたね。
サッカー・ワールドカップの方も感動を期待したいです。
by hash (2010-02-24 00:30) 

丹下段平

良作だと思いました。

>確立されたスタイルにこだわらないその柔軟性

どちらかといえば僕の方に柔軟性がなく、イーストウッドらしくないなぁ、と思ってしまいましたが。
by 丹下段平 (2010-02-27 13:53) 

hash

丹下段平さん、こんばんは。
普通なのに印象に残るという感じの良作ですね。
>柔軟性
人間、年を取るにつれ、頭は固くなっていくものですが、そんな気配がないところは見習っていきたいです。^^
by hash (2010-02-28 00:55) 

coco030705

こんばんは。
イースト・ウッドはやはりすごいですね。あの映画創りへの情熱には
追随するものがないって感じです。

映画自体は、スポーツの場面が感動を呼ぶつくりになっていて、
本物の試合かと見まごうばかりでした。

>アパルトヘイトという負のイメージ描写を最小限に押さえ
なるほど、あえてそうしたのですね。

いいレビューをありがとうございました。
TBさせていただきます。




by coco030705 (2010-04-01 18:22) 

hash

coco030705さん、こんばんは。
>映画創りへの情熱
既に次回作を撮り終え、次の企画に着手しているようですから、本当に頭が下がります。

スポーツから生まれた真実のドラマを見事に映像化していましたね。
by hash (2010-04-02 20:45) 

オカピー

新年あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します。

>この敗北がラグビー人気の下降に拍車をかけたような
残念ながら間違いないでしょう。
母校が一番力を入れているスポーツがラグビーで、一年中体育でラグビーをやらされていた僕ですので、一般の人以上にラグビーを観てきましたが、あの試合にはがっかりしました。
アジアでは断トツに強くても世界に行けば、全く歯が立たない。
最近では年末年始の高校ラグビー・ハイライトも放映しなくなり、決勝戦以外は一切観られません。するとファンも離れていくという悪循環になり・・・

さて、昨年は3本のイーストウッド作品を観て、先の2本は【一年遅れのベスト10】に入れる予定ですが、本作は比較するとやや物足りない。
映画的魅力で前の二作に及ばないという感じです。明快な映画が僕は本来好きなはずなんですけど、何故でしょうか(笑)。それはともかく、ややこしい映画が多い時代ですから、こういう作品は歓迎されるべきですね。
by オカピー (2011-01-11 10:02) 

hash

オカピーさん、こんばんは。
私の母校もラグビーが強かったので、それなりに関心を持っていましたが、あの試合は衝撃的で、心が遠のいた記憶があります。

近年はダークな内容にすれば、滅茶苦茶なストーリーでも歓迎されるような所もありますから、本作のような明快な映画を観ると、逆に新鮮な感じがあるような気がして、好感を持ってしまいます。
by hash (2011-01-12 22:38) 

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